瑕疵保険は延長できる!期間を延ばすためにやるべきこと
新築住宅の購入時に加入する瑕疵保険は、基本的にその期間が10年と定められています。「10年経ったらどうなってしまうの?」と疑問に思う人もいるかと思いますが、瑕疵保険は10年の期間満了後に延長できます。今回は、瑕疵保険の延長についてと期間を延ばすためにすべきことを解説しましょう。
瑕疵保険とは?
瑕疵保険とは、新築時から10年間は、住宅品質確保促進法により定められている部分(構造部分や防水部分)については施工会社・販売会社が瑕疵担保責任を負うという保険です。簡単にいうと、新築から10年の間に構造部分に瑕疵が見つかった場合には、施工会社の負担で修繕してもらえる、というものです。
この「10年間」という期間ですが、たとえば10年経過前に施工会社が倒産してなくなってしまったとしても、保険会社に修繕をお願いすればその費用が直接支払ってもらえます(限度額2,000万円まで)。この場合、勝手に修繕を進めてしまうと保険が使えなくなってしまうため、瑕疵が見つかったら必ず保険会社を通して修繕を依頼するようにしてください。
瑕疵保険は延長保証がある
先述のとおり、新築時に加入する瑕疵保険の保険期間は基本的には10年となります。しかし、多くの場合瑕疵保険には延長制度があります。
延長保険では保険期間を5年・10年などから選択することとなっており、通常の瑕疵保険と同じく瑕疵や不具合が見つかれば修繕してもらえたり、建築会社が倒産してしまったりした場合でも保険会社を通して修繕をお願いできるようです。
また、新築時の瑕疵保険の保険料は事業者負担となっていますが、延長保証における保険料は自己負担となります。このあたりの細かい部分については保険会社によっても多少内容に違いがあるため、新築時に加入していた瑕疵保険の延長保証について調べてみてください。業者や保険会社を変えることも可能ですが、その場合は延長保険の保険料が割高になります。
また、国土交通省により発表されている保険事故の発生部分(どこで瑕疵や不具合が発生して保険金の支払い対象となっているのか)によると、その9割以上が雨漏り部分の修繕であることがわかっています。瑕疵保険は基本的に「雨漏り用の保険」であると考えておき、延長するかどうかをよく検討してください。
瑕疵保険を延長するにはホームインスペクションと修繕が必要
「築年数が10年を超えたから瑕疵保険を延長したい!」と思っても、そのまますぐに延長の手続きができるわけではありません。瑕疵保険を延長するためには、一度住宅に隠れた瑕疵や欠陥がないかをチェックし、万が一不具合が見つかった場合にはそれらをすべて修繕、メンテナンス工事をしてからの延長手続きとなります。
■ ホームインスペクションとは?
瑕疵保険を延長するには、住宅の専門家に建物の状況チェックをしてもらう必要があります。このチェックを「ホームインスペクション」と呼ぶようです。医療保険やがん保険に加入する際に健康状態に関する告知を行うのと同じように、住宅の瑕疵保険の場合でも建物の今の状態を確認しておく必要があるのです。
ホームインスペクションでは、講習を受けた専門の建築士が雨漏りや構造上の不具合、自然災害によるゆがみなどをチェックします。
■ 瑕疵保険の延長には指定箇所の修繕が必要
瑕疵保険の延長を希望する場合には、指定箇所を修繕・メンテナンスする必要があります。住宅のメンテナンスは、瑕疵保険の延長を別としても長く住み続けるためには不可欠となるようです。築20年が過ぎる頃には、メンテナンス工事を行った住宅とそうでない住宅では大きな差が出てきます。
気付かぬうちに状況が悪化していき、いざ確認してみたら「構造部分が腐っていた!」ということにもなりかねません。瑕疵保険を延長する場合にはもちろん、そうでない場合でも20年に一度は修繕が必要であると考えておきましょう。
■ 瑕疵保険の延長には5年間の猶予も
瑕疵保険の延長にはホームインスペクションと修繕が必要であるということがわかりましたが、保険が切れてから延長を決めるまでにどの程度猶予があるのでしょうか?
瑕疵保険を延長できるのは、新築時の保険が切れてから5年間となります。つまり、築10年が経過したら、5年以内にホームインスペクションと修繕を行い、延長の手続きを済ませる必要があります。
大掛かりな修繕となれば一定期間は職人さんが家を出入りすることとなるため、余裕を持って工期を調整できるのは嬉しいですね。
今回は、瑕疵保険の延長とその方法について解説しました。瑕疵保険が使われるのは「雨水の侵入」を原因とする瑕疵がほとんどであるため、雨漏りに不安がある場合は延長することをおすすめします。また、延長には5年間の猶予がありますが、その間は当然瑕疵保険が適用されません。延長を悩んでいる間に「雨漏りが見つかってしまった!」ということがないよう注意してくださいね。