ホームインスペクションに必要な資格とは?適切な業者を見極めるポイントも紹介
住宅の劣化状況や修繕すべき箇所を第三者視点で診断するホームインスペクションは、住宅が健全な状態を保つために大切です。しかし、ホームインスペクションの業者の見極め方がよくわからない人も多いでしょう。そこで本記事では、ホームインスペクションに必要な資格や業者の見極めポイントを紹介します。
ホームインスペクションには一級建築士の資格が必須
住宅の診断やホームインスペクションに関連する資格は多岐にわたり、民間が独自に設けているものも含め、信頼性にはばらつきがあります。そのため、一般の人々が資格だけで業者や個人の能力を判断することは難しいでしょう。
しかし、最低限必要な資格として注目されるのは建築士の資格です。とくに、一級建築士の資格は経験や能力を積むためにも必要であり、ホームインスペクションにおいても有益とされています。
一級建築士は、業務を始めてからの経験値や能力においても高い水準を保っている場合が多く、信頼性が高いといえるのです。一方で、二級建築士でも適切な能力を持っている個人も存在しますが、一般的には一級建築士のほうが能力が高いとされています。
また、中古住宅の場合は既存住宅状況調査技術者の資格も重要であり、必須条件とされています。この資格をもっていることは、中古住宅の診断において必要な最低限の基準を満たしていることを示すのです。
さらに、一級建築士事務所であっても、実際に現場を担当する者が二級建築士である場合があります。そのため、依頼する際には現場担当者の資格や能力を確認することが重要です。
つまり、ホームインスペクションを行う際には、一級建築士や既存住宅状況調査技術者の資格をもつ個人や業者に依頼することが望ましいです。
業者の第三者性をきちんと確認
ホームインスペクション業者を選ぶ際にもっとも重視すべき点は、その第三者性です。この概念は、業者や個人が客観的かつ公正な立場で調査を行い、その結果を報告することを指します。
しかし、近年では業界内での癒着や不正な関係が増えており、とくに不動産業者や建築業者との癒着が顕著です。不動産業者や建築業者がホームインスペクション業者に顧客を紹介するケースがありますが、このような関係は業界全体で問題視されています。なぜなら、顧客を紹介してくれる不動産業者に依存することで、ホームインスペクション業者が顧客の利益よりも不動産業者の利益を優先する可能性が高まるからです。
本来ならば、ホームインスペクション業者は依頼者のために正確かつ客観的な調査を行い、その結果を報告するべきです。しかし、不動産業者からの紹介に依存することで、ホームインスペクション業者が依頼者ではなく不動産業者の意向に従ってしまうリスクがあります。
さらに、リフォーム業者がホームインスペクション業務も行うケースもあります。この場合、ホームインスペクションの結果を工事受注の機会として利用しようとするのです。とくに、必要のない補修や工事をすすめることで顧客を誘導するリスクがあります。
このような問題を避けるためには、ホームインスペクション業者が不動産業やリフォーム業を行っていないことを確認することが重要です。また、業者選びの際にはみずから積極的に探すことや不動産業者からの紹介に依存せずに判断しましょう。
経験や実績をチェックする
経験と実績は、ホームインスペクション業者を選ぶ上で極めて重要な要素です。まず、ホームインスペクションの経験そのものが重視されます。日本ではホームインスペクションの普及が比較的新しいことから、経験を積んだ専門家はまだ少ないのです。
そのため、個人の経験だけでなく、業者全体の実績や経験を考慮しましょう。業者が年間何件のホームインスペクションを実施し、それを元にしたマニュアルや研修体制を整備しているかを確認することが重要です。
さらに、ホームインスペクション業務においては、住宅の構造や建築現場に関する深い知識が必要です。このため、建築士の資格や住宅の設計・工事監理の経験も重要視されます。とくに、工事監理の経験があれば、現場でのさまざまな問題に対処した経験があり、ホームインスペクションにおいても役立つでしょう。
建築士としての経験があるかどうかも重要なポイントであり、業界経験が長いだけではなく、住宅に関する経験があるかを確認することが大切です。ただし、業界経験が長いからといって必ずしも優れたホームインスペクションが行えるとは限りません。
建築業界での経験があっても、それが住宅に関するものでなければ、充分な知識や技術をもっているとは限らないのです。したがって、経験を確認する際には住宅に関する経験を重視し、業界内での実績や信頼性を確認しましょう。
まとめ
ホームインスペクション業者の選定は重要です。一級建築士や既存住宅状況調査技術者の資格を持つ個人や業者を選び、第三者性を確保しましょう。不動産業者やリフォーム業者との癒着を避け、客観的かつ公正な立場で調査を行う業者を選ぶことが重要です。
さらに、業者の経験や実績も重視し、住宅に関する深い知識や技術を持つ専門家を選択しましょう。信頼できる業者を選ぶことで、住宅の健全性を保つための的確なアドバイスや診断を受けることができます。