ホームインスペクションのあっせんなしには理由が必須!
ホームインスペクションという言葉を耳にする機会が増えているなかで、その必要性を強く感じる人が増えています。それを支援する制度として注目されているのが「ホームインスペクションのあっせん」です。しかし、あっせんされないケースもあります。今回は、あっせんがないケースがあるのか解説します。
もくじ
ホームインスペクションとは?
まず、ホームインスペクションについてかんたんに説明します。ホームインスペクションは、住宅の状態を第三者である専門家が調査し、問題点や修繕の必要がある箇所を見つけるサービスです。
主に中古住宅を購入する際に活用され、購入者が見落としがちな建物の欠陥や老朽化部分を客観的にチェックするために行われます。これにより、購入後のトラブルを未然に防ぐことができ、安心して家を購入するための重要なステップとなります。
日本では、国土交通省のガイドラインにもとづき、ホームインスペクションの利用が推奨されています。とくに、中古住宅の流通促進を目的として、売買契約の前に建物の状況を把握することが奨励されています。
しかし、すべての不動産取引でホームインスペクションがあっせんされているわけではありません。ここで重要になるのが、なぜあっせんが行われない場合があるのかという理由です。
ホームインスペクションのあっせんとは?
ホームインスペクションのあっせんとは、不動産業者や売主が購入者に対して、専門のインスペクターによる住宅の検査を提案し、その手続きをサポートすることを指します。あっせんが行われることで、購入者は住宅の状態を正確に把握できるため、安心して取引を進められます。
とくに、中古住宅の売買では、目に見えない部分に欠陥がある可能性が高いため、このインスペクションの重要性は非常に高いです。しかしながら、不動産業者によるホームインスペクションのあっせんは、すべての取引で行われるわけではなく、その実施率は限られています。
たとえば、国土交通省の調査によると、2020年度に実施された中古住宅売買のうち、ホームインスペクションの実施率は30.6%に留まっています。つまり、約7割の取引でインスペクションが行われていないという現実があります。
ホームインスペクションのあっせんがない理由
それでは、なぜホームインスペクションのあっせんが行われないケースが多いのでしょうか。ここにはいくつかの理由が考えられます。
住宅欠陥の発見リスク
まず、不動産業者や売主の側にとって、インスペクションによって住宅の欠陥が見つかるリスクが存在します。とくに、住宅の状態があまりよくない場合、その事実がインスペクションで明るみに出ることで、取引価格が下がる可能性があります。
こうしたリスクを回避するため、意図的にあっせんを行わないことがあります。売主や業者にとっては、取引をスムーズに進めたい思惑があり、そのためにはインスペクションが妨げになる可能性があると考えます。
購入者側の知識不足も影響している
ホームインスペクションが重要であることを理解していない購入者は、そもそもその必要性に気づかないことが多いです。とくに、初めて住宅を購入する人にとって、インスペクションは聞き慣れない言葉であり、そのメリットを十分に理解していないケースが少なくありません。
そのため、業者からのあっせんがない場合でも、購入者自身がインスペクションを求めることが少ないのです。
インスペクションを実施するには費用がかかる
費用は物件の大きさや調査内容によって異なりますが、平均的には数万〜十数万円かかるといわれています。この費用を負担したくないと考える購入者や売主も少なくなく、あっせんが行われない理由のひとつとなっています。
あっせんがなくともホームインスペクションをする重要性
ホームインスペクションは、住宅購入時のリスクを最小限に抑えるための非常に有効な手段です。とくに中古住宅の場合、表面上は問題がないように見えても、内部にはさまざまな欠陥や老朽化が進んでいることがあります。
これらの問題は、購入後に発見されると、修繕費がかさみ、経済的な負担が大きくなる可能性があります。そのため、ホームインスペクションを通じて、購入前に住宅の状態を正確に把握することは、後々の安心につながります。
また、インスペクションの結果をもとに、売主と価格交渉を行ったり、修繕を依頼したりできます。
ホームインスペクションのあっせんがない場合の対応策
もし、不動産業者や売主からホームインスペクションのあっせんがない場合でも、購入者自身でインスペクションを依頼できます。むしろ、自分自身で積極的にインスペクションを行うことで、住宅の状態をより正確に把握でき、後悔のない取引ができます。
とくに、購入後に大きな修繕が必要になるリスクを減らすためには、インスペクションは欠かせません。また、インスペクションを依頼する際には、信頼できる第三者機関や専門家に依頼することが重要です。
業者や売主からあっせんされたインスペクション業者は、場合によっては利害関係がある可能性があるため、あくまで中立的な立場で住宅の状態を評価してもらうためには、自分で専門家を選ぶことが望ましいです。さらに、インスペクションの結果をもとに、修繕が必要な箇所や、その修繕費用についても事前に確認しておくことが大切です。
これにより、購入後のトラブルを未然に防ぎ、安心して住宅を取得できるようになります。
まとめ
ホームインスペクションは、中古住宅を購入する際に非常に重要な役割を果たしますが、すべての取引であっせんが行われるわけではありません。不動産業者や売主の利害関係、購入者の知識不足、費用の問題など、さまざまな理由であっせんが行われないケースが多いのが現実です。しかし、あっせんがない場合でも、購入者自身が積極的にインスペクションを依頼することで、住宅の状態を正確に把握し、リスクを最小限に抑えられます。住宅購入時には、ホームインスペクションの重要性を理解し、その実施を検討することが大切です。