雨漏りの痕跡がある家を買うか検討している際の注意点
せっかく気に入った物件があったのに雨漏りの痕跡があることがわかったら、買うかどうかとても悩みますよね。長く住み続ける家なので、雨漏りくらい大丈夫だろうなどと気軽に考えず、できる限り調査したほうがよいといえます。今回は雨漏りの痕跡がある物件の購入を検討する上での注意点について紹介します。
雨漏りが家に与える悪影響
雨漏りが家に与えるもっとも大きい悪影響としては、なんといっても住宅の寿命を縮めるという点です。雨に濡れている箇所がシミになって見た目にも問題があるだけでなく、カビが繁殖したり、カビをエサとするダニが発生したりする原因にもなります。
また、木材が腐敗したり、その影響でシロアリの被害に遭ったりする可能性も出てきます。もし、シロアリが発生してしまった場合、断熱材までも食害され、構造耐力の面でも問題が出てしまうようです。
さらに被害が大きくなると、建物の被害だけでなく、人間にも影響を及ぼす可能性があります。カビが発生することによって、感染症やアレルギーなどを引き起こすなどの健康被害がもたらされることがあります。
とくに、小さい子どもや高齢者などの免疫力が弱い方は注意が必要です。感染症で挙げられる代表的な症状としては、水虫やタムシ、シックハウス症候群などです。
また、雨漏りによる水漏れが原因で起こる、漏電や火災の被害が起きる危険性もあります。雨漏りしている箇所からの雨水がブレーカーやコードに触れてしまうと、漏電する可能性があるだけでなく、最悪の場合火災が発生したり、人体へ感電したりしてしまうという危険性があります。
ホームインスペクションで雨漏り調査をする?
ホームインスペクションとは住宅診断のことであり、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が専門家かつ第三者の立場から、住宅の劣化状況や欠陥があるかどうか、改修すべきところやその時期、費用などをアドバイスしてくれることを指します。
建物の雨漏りについて調査する項目もあるのですが、その調査項目の名称は「雨漏り跡」「漏水跡」「水染み」などとなっており、「雨漏りの有無」とはなっていない場合がほとんどです。
つまり、雨漏りの跡のみを見ているので、もしリフォームなどを行なっていて雨漏りの跡が目立たなくなっていれば、雨漏りの跡はなしと判断されます。まるで、今はもう雨漏りはしていないかのように捉えてしまいそうですが、実際は現在進行形で雨漏りしていたということもあり得るので注意が必要です。
また、今は雨漏りしていなくても、将来的に雨漏りが生じる可能性のある部分の劣化状況についても調査しており、こちらは補修すべき項目としてアドバイスされることがあります。
このときに注意しなければいけない点としては、雨漏りの痕跡があるかどうかや将来的に雨漏りが生じるリスクについてはアドバイスしてくれるのですが、たとえ雨漏りの跡が見つかっても、その雨漏りが今も続いているのか、すでに止まっているのかまでは調査してくれないということです。
明らかに現在も雨漏りしていることがわかる場合は別ですが、基本的には雨漏りが現在も進行しているのか止まっているのかを調べてはいないということを理解しておく必要があります。
さらに注意が必要な点に関しては、雨漏りの痕跡があっても、その雨が建物内部へ侵入してきたルートや、雨の流れた範囲や雨による壁や天井内部の被害状況を調べるわけではないという点です。このようなことを調べたいのであれば、ホームインスペクションではなく、雨漏り調査を別途で依頼する必要があります。
雨漏りの痕跡がある家を買うか検討した際の注意点
中古住宅を購入する前に、雨漏りの痕跡が見つかった場合、買主はどんなところに注意する必要があるのでしょうか。まずは、その雨漏りが現在も続いているのかどうかを確認し、現在も続いていた場合、原因となっている場所はどこなのかについて調べることが重要です。
また、原因の解決方法とその対策にかかる費用、雨漏りの被害範囲とその部分は補修が必要なのかどうか、もし必要であった場合の対策費用についても確認しておきたいところです。そして、これらの費用等の負担を誰がするのかというところも確認しておきたいポイント。
しかし、これらを購入前に買主が実施することは容易ではありません。なぜなら、まだ買う前であり所有者ではないため、買主の都合で調査や工事ができないためです。
できれば売主にしてもらいたいところですが、なかなか要望に答えてくれないことが多いでしょう。そのため、雨漏りの痕跡があるなら、それを参考材料の1つとして購入するかどうかを判断するという方法が一般的です。
もし気に入った物件に雨漏りの痕跡があった場合、きちんと調査をして、具体的にどのような状態にあるのかというところまで調べておく必要があるといえます。ちゃんと現状を知ったうえでそれでも購入するかどうかを決めるべきでしょう。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。