既存住宅瑕疵保険とホームインスペクションの違いとは?両方の利用がおすすめ
既存住宅瑕疵保険とホームインスペクション、混同されがちな2つですが、どのような違いがあるのでしょうか。また、どちらを利用すべきなのでしょうか。今回は、既存住宅瑕疵保険とホームインスペクションの違いと、どちらを利用したほうがよいのかについて紹介します。
既存住宅瑕疵保険とは?
既存住宅瑕疵保険とは、既存の住宅、つまり中古住宅を売買した後に保険対象となる瑕疵が見つかった場合、補修などの費用について保険金が出るというものです。
瑕疵とは、想定内の品質や性能を有していないことであり、例としては住宅の構造上の主要な部分や雨水漏れ防止部分などに欠陥があることが挙げられます。住宅保険会社などが検査したうえで保証し、それに対して国土交通省の指定を受けた保険法人が保険を付けるという仕組みになっています。
既存住宅瑕疵保険付きの物件なら、保険に加入するために必要な検査などの手続きを新たにする必要がなく、すでに保険の検査に合格している物件ということなので安心です。また、買主にとっては、検査の料金や保険料、瑕疵があった場合の補修費用などを負担しなくていいので、メリットが大きいといえます。
この保険に加入するために必要な検査としては、保険の対象となる項目、つまり主要な構造部分や雨漏りなどに関する項目が対象となるようです。
ホームインスペクションとは?
ホームインスペクションとは住宅診断などとも呼ばれ、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、専門家の見地かつ第三者的な立場から、住宅の劣化状況や欠陥の有無、改修すべきところやその時期、またそのおおよその費用などを見極め、アドバイスを行う専門業務のことをいいます。
アメリカでは州によって異なりますが、取引の7割から9割ほどがホームインスペクションを行うというほど浸透しています。日本でも2018年4月から中古物件を取引する際にホームインスペクションの説明が義務化されました。
こちらは主に目視や打診、触診、計測によって調査されます。調査範囲は、建物外部では基礎、外壁、軒裏、屋根、バルコニーであり、建物内部では床、壁、天井、水周り設備、建具、サッシなどです。
こちらは保険の加入が目的ではなく、買主が物件を購入した後に補修が必要な部分はないか、長持ちさせるためには何をすべきかをアドバイスすることが目的です。家を買うときにホームインスペクションを利用して家の状態を見てもらうというパターンはもちろん、家を売るときにも売買後のトラブルを防ぐためにホームインスペクションを利用する場合もあります。
基本的に目視できる範囲はすべて診断対象となるので、先ほどの保険加入のための検査よりも細かいところまで調べます。実は、この保険の対象項目以外の項目に問題が多いのです。例としては、よく断熱材や結露の問題が挙げられます。
既存住宅瑕疵保険とホームインスペクションの併用がおすすめ
既存住宅瑕疵保険では、保険の対象項目しか見ません。しかし、先ほども少し触れたように、これらの項目意外にも建物は問題が多いのが事実です。
たとえば、断熱材はその住宅で快適に暮らすため、または省エネ性を高めるために必要不可欠なものですが、これは保険とは関係がないので、ホームインスペクションでしか見てもらえません。
また、結露の問題もずっと放置していると将来的に構造的な問題を引き起こすことがあります。さらには、保険の期限が切れた後に問題になるという可能性も考えられます。
また、保険の検査は基準にクリアしているかどうかのみを見ているので、不合格という結果であると買主はがっかりしてしまいますが、実は、保険の対象項目が保険に不合格であっても、それほど大きな問題ではないというケースが多くあるようです。
それよりも、不具合の程度の説明や対処方法のアドバイスがとても重要なのですが、そのようなことは保険の検査ではないため、そこまではしてもらえないというのが現状です。そのため、理想的なものとしては既存住宅瑕疵保険が付いており、なおかつホームインスペクションによるアドバイスも受けられるような物件が挙げられます。
また、既存住宅瑕疵保険のみがついている物件を購入するなら、契約前にホームインスペクションを利用するとよいでしょう。それぞれに異なるメリットがあるので、両方を利用しておくことが望ましいといえます。
また、もしどちらも付いていない場合は、2つを同時利用することで料金を抑えることができるかもしれないので、よく調べたり、相談したりするのがおすすめです。
既存住宅瑕疵保険とホームインスペクション、どちらもそれぞれにメリットがありますが、どちらかだけでは不安が残るということがわかりました。できる限り、両方とも利用して、後悔がないような買い物をしたいですね。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。