瑕疵担保責任がある住宅のホームインスペクションは必要ない?

公開日:2021/12/19  最終更新日:2021/12/01


住宅を購入するときに耳にすることがある瑕疵担保責任という言葉、ご存知の方もいるかもしれません。購入に際して売主に一定の責任を与え買主を守るための制度なのですが、それだけで本当に安心して住宅の売買はできるのでしょうか。今回は、瑕疵担保責任の解説とホームインスペクションの重要性についてお伝えします。

瑕疵担保責任とは?

ご存知ない方のためにも、まずは瑕疵担保責任とはなにかについて説明します。

■施工会社や売主が負う責任

瑕疵は「傷、欠点」といった意味ですが、瑕疵担保責任とは購入および建築した住宅を引き渡した後に、売買時には気づかなかった瑕疵(傷や欠陥)が見つかった場合には、施工会社や売主がその責任を負うといった主旨の法律です。住宅には一見しただけではわからなくても、一定期間住んでみて不具合が見つかるということが往々にしてあるものです。

そういった起こる可能性の高い不利益から買主を守るための法律でもあります。瑕疵担保責任は気づかなかった瑕疵、“隠れた瑕疵”ともいいますが、それがどういったものを指すかというと、雨漏りやシロアリ、配管からの水漏れのような通常の状態ではわからない、ある程度使用することで発覚するようなもののことです。そのため、売買契約時にあきらかに見ただけでわかるようなものは瑕疵として認められないこともあります。

■責任期間は新築10年、中古は3ヶ月もしくは2年

新築住宅の場合には、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)によって、販売会社や施工会社に対して引き渡し時から10年間の責任が義務づけられています。

さらに10年間という長期間なので、販売・施工会社がその間に倒産して責任を負えなくなるリスクを防ぐために、「供託」あるいは「住宅瑕疵担保責任保険」という制度を利用しなければいけません。

一方、中古住宅の場合は品確法ではなく民法によって売主の瑕疵担保責任が規定されています。本来は中古住宅の場合でも同じく10年間の責任が原則でしたが、負担が重すぎるという理由から、一般的には契約時に特別の取り決め(特約)をして、売主が個人の場合には3ヶ月、もしくは築年数が古い場合には責任を負わないといった特約を設定することが多いです。

しかし中古住宅でも売主が不動産会社の場合には、宅建業法によって引き渡しから2年以上の責任を負うことが定められています。

■改正民法で「契約不適合責任」へ

2020年の改正民法によって、瑕疵担保責任は契約不適合責任という用語に変わりました。具体的に変わった部分を簡単に説明すると、買主が請求できる権利が以前は契約解除と損害賠償請求でしたが、それがさらに拡充され代金減額請求、追完請求など新たな権利が認められています。

つまり、改正によって買主の権利が増えたわけですが、売主にとっても以前の無過失責任がなくなったという側面もあります。

瑕疵担保責任では対象外の項目もある

瑕疵担保責任はすべてをカバーできるわけではなく、限定的なものであり責任を問うことができない場合もあるので注意してください。どこまで保証してくれるのか、その範囲が気になるところでしょう。ここからは、瑕疵担保責任で対象外の項目について説明します。

■瑕疵担保責任の範囲

そもそも瑕疵担保責任は売主と買主が双方の合意のもとで決める任意規定なので、内容が明確に決まっているものではなくケースバイケースです。つまり、特約などで自分たちの好きに取り決めができる性質のものであり、瑕疵担保責任の範囲は基本的には売買契約書に記載されたものということになります。

しかし、一般的にはおおむね以下のように特定されていることが多いです。

・屋根や壁からの雨漏り
・シロアリによる食害
・水道管、排水管の破損
・建物の主要な部分(柱など)の腐朽

このように、瑕疵担保責任は売買契約時に通常の注意をもってしては発見できなかった隠れた瑕疵であり、放置しておくと住み続けることが困難になってしまうような重大な欠陥に限定されています。そのため通常は、壁や天井のクロスのはがれ、内装部分や外観、設備に関するものは瑕疵担保責任の対象外となるので注意しましょう。それ以外にも断熱材の劣化や地盤沈下が原因とされる建物の傾斜なども対象外となることが多いです。

住宅の購入前のホームインスペクションがおすすめ

長く住み続けるためには瑕疵担保責任だけではカバーできず、将来の不安要素になる材料は他にもいくつもあります。そうした不安を払拭するためにも、売買契約や引き渡しの前にはホームインスペクション(住宅診断)の利用をおすすめします。

なぜなら先ほどもお伝えしたように、中古住宅の場合には責任期間が短く、その期間を過ぎてしまってから不具合が発生するケースが非常に多いからです。期間内には問題がなかったように見えても、実際には外壁の継ぎ目やバルコニーの防水面の劣化が進行してしまっていて、期間が過ぎてから雨漏りしはじめるなどの劣化現象が起こることもあるのです。

その場合には、瑕疵担保責任として売主に補修を要求しても快く応じてもらえることは少なく、話し合いがうまくいかずに難航してしまったり、裁判沙汰となったりすることも珍しいことではありません。

また、断熱材の劣化や建物の傾斜も瑕疵担保責任の対象外ではありますが、見逃せない問題です。断熱材がどういう状況になっているかは、床下や屋根裏に実際に立ち入って検査しなくてはわからないうえ、建物の傾斜も専用の機器を使って計測しなければ本当のところはわかりません。どちらも長く快適な住まいを実現するには欠かせない重要な要素です。

これ以外にも、住み始めてから不具合が発覚することはたくさんあります。そのときに自費で修理することになって多額の費用がかかってしまっては、後悔も大きくなってしまうでしょう。

以上のような理由から、売買契約を結ぶ前にはホームインスペクションを利用して、問題がありそうな物件であれば購入を控えるというのが賢明な判断だといえます。もしすでに建物の引き渡しを受けてしまった場合でも、責任期間内にホームインスペクションを受けることで、瑕疵担保責任の交渉がしやすくなります。

 

ここまで瑕疵担保責任の説明を中心に、ホームインスペクションの重要性についてお伝えしました。瑕疵担保責任は改正民法で契約不適合責任へと変わり、買主の保護がより重視される形となりました。それでも実際には保証対象外となる事例も多く、中古住宅の場合にはとくに注意が必要です。マイホームという人生における最も大きな買い物を安心して行うために、ホームインスペクションの利用を検討してみてください。

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